ロ
ングセラー絵本の主人公。最近、さしえが変
わってしまい、図書館の書庫にとじこめられて子供たちに会えなくなってしまった。そういった悩みもあって、古
きよき時代を彷彿させるクリニックへ来てくれたようだ。外出の機会を増やすこと、ボランティアを含めて世間とつながる活動を始めること等、アドバイスをし
ながら支援していきたい。
マイケル=ボンド作、フレッド=バンベリー画、中村訳「パディントン ロンドンとうへ」1976.10 東京 偕成社 より
書評;
絵本の絵としては、デッサンがしっかりしているばかりでなく、細かい所まで描きこまれていて、きっと開けるたびに新しいものに気づかされる。 さらに、パ
ディントンの幸せそうな表情、みじめな表情、ビーフイーターのお道化た表情、子供の優しい表情、無邪気ながらも意地悪な表情などが精細に描かれていること
にも驚かされる。 したがって、読み手の視覚に訴える物が大変豊かである。
一方、ストーリーの中では、期待される英国紳士のありようが、パディントンのユーモア、世話好きなグルーバーさん、ビーフイーターの丈夫ぶりに楽しく描かれている。 お出かけの時のマナーをさりげなく教えてくれる場面もある。
総合的に教育的価値が優れた作品である。 あふれる絵本の中で、児童目線と幼稚な仕上がりを混同したような作品に飽き飽きしているなら、きっと砂金を見つけたような喜びを与えてくれることだろう。 院長の絵本セレクト